言い換えれば(厳しい言い方をすれば)、ユニットケアといえども、まだ「家」にはなりきれていない「施設」という側面がここにあるといえます。
様々な背景があるにせよ、住み慣れた「地域」「我が家」「家族」から離れて暮らすことの辛さ、寂しさ…さまざまな場面をとらえて、入居されている皆様方により添いながらの身体面、精神面のケアを試みても、やはり「家族に勝ものなし」。
しかし、それでも何某かの取り組みを通して、空虚感を埋めるべく、取り組みを行っていきます。
こいのぼりを見た方は、こいのぼりの歌を思い出し口ずさみ…
滝を上る鯉の勢いに、見とれ、感激し、「元気な鯉だね…」との会話のきっかけが生まれます。
そして、天井の鯉が、空気の流れに動くのを眺めつつ、我が子の小さかったころの話を職員に聞かせてくれます。
手作り鯉のぼり…一緒に作りながら、ニコニコと…感情が動きます。日々、小さな感動と取り組みを行っています。
家庭ではない壁面装飾や飾りつけはしない…というユニットケアの考え方があります。しかし、各家庭環境(そこに暮す家人のデザイン感、美意識や価値観によって、それぞれの家庭の飾りつけは異なります。
それゆえに、職員それぞれの考えではなく、ご利用者の希望に沿った演出を心掛けながら取り組んでいます。
子供っぽい…、そんな壁面飾り…一言では言い切れない入居者の希望や想いに少しでも寄り添おうとする職員の苦労がここにあることを感じていただければ幸いです。